「災害などで家に住めなくなるリスクは考えていないのか?」
と、昨日の記事に読者さんから質問がありました。
結論から言えばそういう不安はないです。
コメント欄でざっと解答したのですが、もう少し詳しく書いていきます。
「持ち家のリスク」は本当か
災害が怖い! というけれど
明らかに災害リスクのある場所(洪水・土砂災害・津波の警戒区域等)を除けば、災害リスクはほとんどないでしょう。
地震については、1981年以降の建物は新耐震基準ですので過度に恐れる必要はないと思います。(2000年以降は法改正のためさらに安全)
最大震度7の熊本地震の例。旧耐震と新耐震では大きな違いがある(PDF)
というわけで、災害で「住めなくなるリスク」はほとんど考えてません。
じゃあ、家が老朽化して勝手に崩壊するリスクはどうでしょうか?
日本の木造住宅の平均寿命は64年
「木造住宅は30年しか住めない」という通説があります。
一方で、早稲田大学の小松幸夫氏は、「日本の木造住宅の平均寿命は64年」としています(「建物の平均寿命推計」の最新調査(2011年、PDF))。
どうして倍以上の違いがあるか? というと、「30年説」は「取り壊した住宅の平均築年数」だからです。
家主が家を壊さなければ問題なく住めるのです。
このことを裏付ける例をあげてみます。
建築してから空き家化するまでの年数は平均で58.6年であった。つまり、空き家になる家屋は建築されてから比較的時間が経ったものが多いことがいえる。
(空き家の現況と所有者の意識・実態調査の結果 PDFファイル)
島根県の統計データになるのですが、新築から空き家になるまで58年人が住んでいたことになります。
同調査では空き家になった理由の大半が居住者の死亡であり、相続人が住み続けたらもっと長く住むことができた可能性もあります。
半世紀以上前の建築技術で60年住めていたことを考えると、近年売買されている中古住宅はもっと長持ちするのではないでしょうか。
家を壊すのは災害や経年劣化ではなく「人」
小松氏が述べている(PDF)ことですが、
* 耐久性より、むしろ使い方が問題
* わが国で建物が自然に倒壊することは稀
* 建物を壊すのは使用者や所有者である
これに私も同感です。
日本の住宅市場はかなり特殊です。強力な新築信仰があり、築40年もすればほとんど土地の価値しかなくなる。だから家主は取り壊してアパートなり新築の家を建てた方が「得」ということになる。
これは市場価値の問題で、住める住めないとはまったく別の問題です。軽くリフォームをするだけで見違える物件もたくさんある。(戸建て投資家はそれを見込んでボロ家を買います😎)
家が勝手に壊れるのではなく、人間が壊すことの方がずっと多いのです。
空き家は朽ちる。「住まなくなると住めなくなる」
ただ、現実にいろんな物件を内見してると「住めない家」を見ることがあります。
ちょっとややこしいのですが、人が住まなくなると家は住めなくなります。「住める家が・住まなくなると・住めなくなる」というわけです。
空き家問題がよく話題になりますが、家は人が住まなくなると一気に劣化が進む。
「通風や通水などの管理をせずに空き家を放置すると、湿気の滞留による畳の膨張や壁紙へのカビの発生、雨水の浸入による構造材の腐食、排水トラップの破封による悪臭や害虫の侵入など劣化が進行する」(国交省 PDF)
こうなるとだれも住めない・住みたくない家のできあがりです。いわゆる「ダイナマイトでぶっ壊したい家」です😣
ちなみに前に内見したシロアリハウスは長期放置物件ですが「住める家」に入ります。シロアリ駆除と補修なら30万円ぐらいで足りますからね……。
結論:持ち家を過剰に恐れる必要はない
以上かなり適当に調べてみましたのですが、ふつうに住んでいる家が「住めなくなる」ことはほとんどないと考えています。
世の中には「古い家は維持が大変」「賃貸の方が安心」という「常識」がありますが、それはマーケティングのたまものでしょう。
- 新築→ハウスメーカー、工務店、銀行、国(税収)が儲かる
- 賃貸→家主、不動産業者が儲かる
そんなわけで新築>賃貸>中古住宅という世論が形成されます。
現実には逆だと私は思ってます。私は「住むところを失う不安」を持っていません。そして中古住宅がいちばん経済合理的だと考えています。
世の中、アホな多数派からむしり取るために社会ができてます。「常識」はまず疑ってかからなきゃいけません。
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……そんなこと言って150万円ハウスがぶっつぶれたら、すぐさま杵築市に引っ越しますが😘