今年もイギリス行くかもしれない系無職です。
テリー・ジョーンズの
って本がおもしろかった。
現代のサラリーマンは「中世の農民」より貧しいかも
イングランドの農奴は意外とリッチだったぞ
「中世の農民」
というと日本でもヨーロッパでも
- 超貧しい
- 生存ギリギリ
のイメージです。
でも意外とリッチだったかも。
確かな証拠が示すことによれば、当時の農民たちは私たちと同じように核家族で暮らし、プライバシーを重んじていたようだ。すでに12世紀には、ごく小さな田舎家にも上の部屋があったようで、14世紀初めまでには多くの人々がこうした家に暮らしていた。いずれにせよ、個室のある家の住人は、家族の目を気にせずに暮らせたというわけだ。
ウェールズのコスメストンには、当時の農民たちがなかなかの暮らしを楽しんでいた証拠がもっとある。ほとんどの家族が住んでいたのは、プライバシーを守るために柵や堀がめぐらされ、部屋がふたつある家だった。代官(reeve)――荘園裁判所の全体を監督する隷農――の住居からは、石油ランプや釉薬をかけたフランス製の陶器が発掘されたほか、特殊な水差しが見つかったことから、彼がみすぼらしいどころか、コース料理の合間に手を洗うような優雅な暮らしをしていたことがうかがえる。
意外と家が広かったみたい。
「うさぎ小屋」
よりマシでしょうね……。
労働時間は現代よりすくないかもよ
実際、この当時の農民の仕事ぶりは、いろいろな意味で現代のサラリーマンとほとんど変わらなかった。毎週日曜日と聖人の祝日、復活祭やクリスマスといった教会の祭日は休みで、今の会社員と少なくとも同じだけの自由時間があった。また、地代や税金を払うのに必要な仕事量も、今日とほぼ同じくらいだったと思われる。もちろん、老後の蓄えについては少しばかり心配だったが(現代も多くの人々がそうであるように)、当時の農民はそれほど長生きしなかった。
日本の農民もそーですが、祭日が多いからけっこー休みがある。
しかし、サラリーマンよりいい生活じゃないですか?
彼らに「通勤」はない。
家族みんなでいっしょに働きます。
また「自分のための労働」と「他人のための労働」がわけられていた。
自分の土地で働く日と領主の土地で働く日が別だったから。
領主の土地で働くときはけっこーサボってたと聞きますね。
仕事もデスクワークの「ブルシットジョブ」よりは健康的で有意義だったでしょう。
超ヘルシーなごはん食べていた
また、人々は飢えてもいなかった。実際、彼らの食生活は非常に健康的だった。今日、私たちは栄養素をまともに含まないファストフードをやめ、一日に5皿分の野菜と果物を食べるよう推奨される。これはじつは農民の食生活に戻るということだ。ただ、貴族はそんな質素な食事を蔑んでいた――彼らは野菜や果物を貧者の食べ物と考え、青物は体によくないとか、果物を食べると赤痢になると信じていた。
農民が食べるパンは、私たちが食べる白い食パンよりもずっとヘルシーだった――それは良質な全麦パンのように茶色だった。ときにはエンドウ豆などの豆類が加えられ、栄養価がさらに高まった。畑では、中世のカップ麺とでも言うようなものや、乾燥させた野菜のペースト、豆、そしてパンにエールを加えてインスタント食品にしたものなどが食べられた。うなぎのパイも好まれ、ベーコンやチーズ、ソーセージといった保存食品は特別なごちそうだった。
極貧の人々にとってさえ、田舎は野生生物であふれた食料貯蔵庫だった。川には魚がいっぱいで(テムズ川にも鮭がたくさんいた)、農民たちは鳴き鳥やうなぎ、兎を捕まえるための手の込んだ網や罠をもっていた。
……さらに驚くべきことに、彼らはそれなりに魚介類も食べていたらしい。これは商取引のネットワークが遠く田舎にも広がっていたことを示す証拠である。
無農薬で保存料もない😋
レンチンしたコンビニ飯よりずっといいですね。
しかしテムズ川に鮭がいたって衝撃。
私がいったときはお台場の海なみに汚かったですが……。
ロンドンはいまでも果物や野菜が安い。
リンゴは一個5,60円くらいだった🍏
ヒースロー空港でリンゴをかじった無職。甘すぎずシャキシャキしてウマい😍
実は虫歯もぜんぜんないぞ(でも息はクサイ)
また、虫歯もほとんど見られなかった――子供の骸骨のいずれにもなかった。実際、パンに粗い粉や砂塵がたくさん入っているなど、中世の食事は今のものよりずっと人間の歯によかった。それはつまり、彼らの歯がすり減って平らになり、食べ物が入り込んで膿むようなくぼみができなかったということだ。
昔は石臼で製粉してたので歯がすり減るんですよね。
「歯がすり減った方が虫歯になりにくい」
ってちょっと不思議。
しかし、いくつかの骸骨の歯にあった歯垢の化石は、ワラム・パーシーの人々の多くが慢性的な口臭に悩んでいたことを示唆している。これは中世ではちょっとした問題で、ウェールズでは、農家の女性が夫の口臭を理由に離婚することができた。
みんな口クサイ……🥺
医療レベルもまーまー高いかも?
ワラム・パーシーのもうひとつの驚きは、大きな穴のある頭蓋骨が見つかったことだ。それは何らかの鈍器による損傷のようだったが、明らかに手術がなされていた――皮膚が折り返され、傷口がきれいにされ、皮膚がもとどおりに縫い合わされていた。この人物は怪我からすっかり回復したらしい。小さな村の住人でされ、有効かつ熟練した外科治療を受けることができたのである。
理髪師が外科手術やってた時代でしょーか。
「現代の医療も実はあんまよくないかもよ」
とジョーンズ氏はいいます。
院内感染だけで、イギリスでは交通事故死の約二倍の人々が命を落としている。
アメリカでは、医療がガンと心臓病に次ぐ第三の死因になっている(医原死)。つまり、身体の化学的・生物学的構造の解明が進み、医療介入の技術が目覚ましい進歩を遂げているにもかかわらず、私たちは中世の医師たちの功績を思っているほど超えてはいないのである。
これは私も思うんですよね。
私の歯でダメになるのも、歯医者がムダに削ったとこばっかだし😠
中世はけっこー自由な社会だった
中世に対する誤解としてよくあるのは、当時の社会が厳格な封建制度からなっているとか、農奴として生まれたら農奴として死ぬしかないとかいったものだ。これは事実とは言えない。野心的な女性なら、有利な結婚をしたり、金持ちの男性の愛人になったりする道もあった。男性にも自分の地位を変える方法がいろいろあった――ギルドのメンバーとして一年と一日を町で暮らしたり、軍隊に入ったり、聖職に就いたりすることができた。もちろん、犯罪に手を染める者もいたが、貧しい少年が世俗の職業で出世することも可能だった。
- 努力すれば報われるんだ!
- いまは自由の時代だ!
ってのが
「ウソ」
とバレてる最近です。
親ガチャなんて言葉があるが、だいたい親の資産や文化資本で決まってしまう。
- 意外と自由な中世
- 意外と不自由な現代
たいしてかわらないかも😗
けっこー権力者とも戦ったぞ
中世農民というと領主さまやお侍に
「へへーっ」
ってしてるイメージだけど。
いつの時代も庶民はしたたか。
1200年頃、国王ジョンがノッティンガムの町の近くに狩猟小屋を建てると言い出した。ゴタム村の住人たちはどんな影響を及ぼすかを悟った――王が小屋へ行くのにこの村を通るとすれば、その道は国道とされ、新たに税金を払わされることになる。
そこで彼らはどうしたか。何と村全体で頭がおかしいふりをしたのである。村人たちはカッコウが逃げ出さないように茂みを柵で囲ったり、うなぎを溺れさせようとしたり、池に映った月を熊手で引き寄せようとしたり、チーズを丸くするために丘を転がしたりしたという。当時、狂気は伝染すると考えられていたため、村中が狂人ばかりというアイデアは効果てきめんで、作戦は大成功したようだ。
「うなぎを溺れさせようとする」
っておもしろい🤣
隷農は愚かでも無力でもなく、じつは国を動かしていた。主人である領主は隷農たちのやり方や伝統を尊重しなければならず、荘園では年二回、ごちそうを用意して彼らの労をねぎらうのが慣例だった……今どき、年2回も極上ディナーをご馳走してくれる雇い主がどこにいるだろうか。
現代の社畜でも経営者に極上ディナーをふるまってもらうことはあまりないでしょう。
せいぜいピザパーティ……
そーいう意味ではけっこー「民主的」だったといえます。
女性はセックスに奔放だったぞ
「中世の女性は性につつましい!」
みたいな信仰もあります。
日本だと「やまとなでしこ」。
現実には、女性の性欲はけっこー尊重された。
「男女がひとつのベッドに寝かされ、事情に詳しい女性たちが幾晩も呼ばれてベッドを囲む。そしてもし男性の局部がいつもやくたたずで、死んだように無力であることが判明した場合、その夫婦は別れることができる」。
13世紀のカンタベリー市民だったウォルター・ド・フォンテも、そんな哀れな男のひとりだった。1292年、彼の妻は夫が性的不能だと訴えた。彼は「品行方正な」12人の婦人たちによって正式に検査され、その結果、彼の「男根」は「やくたたず」と断定された。まったく、こんな形で歴史に名を残すとは……。
かわいそう……😭
なかなかエグい描写もあります。
同じようなケースが1433年にもあった。ただ、ある熱心な立会人が市民としての務めを果たそうと必死になるあまり、われを忘れた。彼女は「胸をさらけ出し、先ほどの火で温めた両手で、ジョンのペニスと睾丸を握ってしごいた。そしてジョンを抱きしめ、何度もキスした。」
しかし、その努力は無駄に終わった。そこで集まった女性たちは「声をそろえて」、ジョンが妻に「奉仕し、喜びを与える力が十分」でないと罵った。
現代日本でセックスレスはあたりまえですが……。
男性諸氏も婦人たちに罵られた方が良さそうです😒
ところで、なぜ近世・近代で女性の性は否定されたのか?
こうした傾向は啓蒙運動や産業革命をとおしていっそう強まり、主役は男であって女は飾りにすぎないとか、性欲は男のものであって女にはないといった考え方が広まった。もし妻のほうが夫よりも淫乱だったりしたら、夫は心配で、妻を残して仕事へ出かけることなどできなかっただろう。実際、つい100年前まで、セックスに「過剰に」興味をもつ女性は病気か狂気と見なされ、治療が必要とされた。……つまり、こうした流れを背景にして生まれたのがシャーロット姫であり、ラファエル前派であり、「囚われの乙女」なのである。これらは過去を美化しようとするヴィクトリア朝時代の創作にすぎず、私たちの中世への理解を邪魔するものだ。
- 男性は仕事に(職場に通勤)
- 女性は家庭に
となってからみたい。
「囚われの乙女」的な女性像……。
パヤオアニメに多い印象🙄
終わりに 現代こそ暗黒時代かもしれない
- 意外とリッチ
- 労働時間は少なめ
- 健康的な食事
- 医療レベルもまーまー
- 一発逆転もあり
- 権力者に物申すこともできた
- セックスは多め(?)
「中世の農奴ってわりと現代よりいいんじゃないの?」
って感じ。
でもiPhoneがあるカラー!
いまさらだけど著者のテリー・ジョーンズはコメディアンです。
あの「モンティ・パイソン」のメンバー(私はしらんけど)。
実はオックスフォードで英国史を学んだインテリみたい。
結局、私たちの生きる社会も未来から見れば
「暗黒時代」
かもしれませんね。
未来のテリー・ジョーンズが
「リタイア者みたいにぽやぽや暮らしてる人もいた!」
と発見してくれるかも……🤣