「ヒマな生活をゲットしようぜ」とセネカはいった
「人生の短さについて」をUBER旅中に読みました。
岩波版は読んだけど、古典新訳文庫版を読んでみた。
意外にも、リタイアマインドがふんだんにありました……😘
「人生の短さについて」のリタイアマインド
富は賢者の奴隷で、アホの主人である🤔
「人生は長い」のに、私たちが短くしてしまう
じっさい、ひとの生は十分に長い。そして、偉大な仕事をなしとげるに足る時間が、惜しみなく与えられているのである。ただし、それは、人生全体が有効に活用されるならの話だ。人生が贅沢三昧や怠惰の中に消え去り、どんな有用なことのためにも費やされなければどうなるか。ついに一生が終わり、死なねばならぬときになって、われわれは気づくことになるのだ――人生は過ぎ去ってしまうものなのに、そんなことも知らぬ間に、人生が終わってしまったと。
われわれは、短い人生を授かったのではない。われわれが、人生を短くしているのだ。
労働も消費も時間のムダです。
社畜労働してればあっというまに人生は短くなる。
死ぬとき後悔することになります……😔
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「50歳でリタイア」ではおそすぎる
あなたは、たくさんの人たちが、こう言っているのを耳にするだろう――50を過ぎたら仕事を引退しよう。60になれば、公の役目からも解放されることだろうと。
だが、あなたがそんなに長生きする保証が、どこにあるというのか。……
自分が死すべき存在だということを忘れ、50や60という歳になるまで賢明な計画を先延ばしにし、わずかな人たちしか達することのない年齢になってから人生を始めようとするとは、どこまで愚かなのか。
まあ平均寿命が短い時代だったので、だいぶちがいますが🤣
「いつ死ぬかわからん」
のだから、いまを生きた方がいいです。
権力者・成功者も「ヒマ」を求めている
だれよりも神々に祝福された神君アウグストゥスは、休息を願い、国政からの解放を求めてやまなかった。ひととなにを話していても、いつも話題は、暇がほしいというところに帰っていくのであった。いつかは自分のために生きるときが来るのだという、甘美ななぐさめがあればこそ、彼はその労苦に耐えることができたのだ――たとえ、それが偽りのなぐさめであったとしても。
「偉大なる王様」
であっても、なにより求めてるのは「ヒマ」だったりします。
私たちの社会はなんでもあるが
「時間」
はなかなか手に入らない。
忙しい人間には何もできないし、人生がクソ
だれもが認めるとおり、多忙な人間は、なにごとも十分になしとげることができない。弁論においてもそうだし、学芸においてもそうだ。……
生きるということから最も遠く離れているのが、多忙な人間だ。生きることを知るのは、なによりも難しいことなのだ。ほかの技術の教師なら、どこにでもたくさんいる。……しかし、生きることは、生涯をかけて学ばなければならないのだ。
多忙な人は、みな惨めな状態にある。その中でもとりわけ惨めなのは、他人のためにあくせくと苦労している連中だ。彼らは、他人が眠るのにあわせて眠り、他人が歩くのにあわせて歩く。だれを好いてだれを嫌うかという、なによりも自由であるはずの事柄さえ、他人の言いなりにならなければならない。
他人のために苦労する……
まさに社畜です。
忙しい生活をしていると
「やってる感」
が生まれますが、実際には何も生産的ではなかったりします。
ヒマ〜なぽやぽやライフで、真実を学ぶことができます。
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読書、最強すぎワロタ
すべての人間の中で、閑暇な人といえるのは、叡智を手にするために時間を使う人だけだ。そのような人だけが、生きているといえる。というのも、そのような人は、自分の人生を上手に管理できるだけでなく、自分の時代に、すべての時代を付け加えることができるからだ。彼が生まれる以前に過ぎ去っていったあらゆる年月が、彼の年月に付け加えられるのである。
……われわれは、ソクラテスと共に、議論することが許されている。カルネアデスと共に、懐疑することが許されている。エピクロスと共に、安らぐことが許されている。ストア派の哲人たちと共に、人間の性に打ち勝つことが許されている。キュニコス派の哲人たちと共に、人間の性から自由になることが許されている。
……全霊をかたむけて、過去という時間に向き合うのだ。過去は無限で永遠であり、われわれよりも優れた人たちと過ごすことのできる時間なのだから。
読書すれば過去の超天才と出会うことができます。
加藤秀俊はこーいってた。
読書とは、他人の経験を共有することだ……
読書家とは経験の大盗人のことである。そして人間は、他人の経験を貪欲に盗むことによって成長する。……
本屋さんの店頭にならんでいるおびただしい数の書物は、われわれにむかって、どうぞわたしたちの経験を盗んでくださいな、と呼びかけているのである。(「独学のすすめ」)。
ほんと、読書家は経験の大泥棒ですよ。
チートです……😘
読書で親ガチャも克服できる
われわれは、よくこう言う――われわれは、だれを親にするか選べなかった。親は偶然によって与えられるものなのだと。ところが、必ずしもそうではない。われわれには、自分の望みどおりの親の子として生まれることも許されているのだ。きわめて高貴な天才たちには、[学派という]それぞれの家がある。どの家の子になりたいか選びなさい。あなたは、たんに家の名だけでなく、財産をも受け継ぐことになるだろう。あなたは、その財産を、みみっちく、けちけちと守る必要はない。それは、多くの人に分け与えられれば、それだけ増えていくのだから。
彼らは、あなたに永遠への道を開いてくれることだろう。決して引きずり降ろされることのない高みにまで、あなたを引き上げてくれることだろう。これこそ、死すべき生を引き延ばす唯一の方法、いやそれどころか、それを不死なる生に転換する唯一の方法といえるのだ。
読書で「親ガチャ」も克服できる、とセネカはいいます。
私も無教養な家庭に生まれたけど、本でいろんな哲人や賢人を「親」にしました。
そんで立派な無職になれました……🤣
仕事をやめて自分のほんとーの仕事をみつけよう
あなたは、あるときには、私生活での嵐に耐え、またあるときには、公務での嵐に立ち向かったのだ。あなたは、たえまない苦労をして乗り越え、その中で十分な徳を示してきた。こんどは、閑暇な生活の中で、その徳が何をなしとげるか試してほしい。
あなたの人生のうちのかなりの、そして間違いなく良質な部分は、国家に捧げられた。これからは、その時間を少しでも自分のために使いなさい。
あなたは若いころから、教養を身につけるために、あらゆる教育を受けてきた。だがそれは、大量の穀物を上手に管理するためではなかったはずだ。あなたが大志を抱いていたのは、もっと偉大で崇高な仕事だったではないか。
もともとこの手紙は穀物管理人という超エリート仕事をしてる人に送った手紙です。
「そんな仕事よりももっとやるべき仕事があるじゃん😤」
とセネカはいいます。
そのほんとーの仕事は
- ヒマーな生活を送る
- 自分のために生きる
そんで実現するのです……😘
終わりに リタイアバイブルですね
「ストイックにバリバリ働くぞ!」
ってイメージがストア派にありますが。
実際はかなり「リタイア寄り」であることがわかります。
賢者はあくせく働かないのです😘
などに並ぶ「リタイアバイブル」といっていいでしょう……🤤
◆
以下は蛇足。
本の内容はいいんですが……。
セネカって賛否両論です。
ストア派の哲学者としては、富の空しさを重ねて説きながら、自分では、しゃにむに蓄財に励んだというセネカ。ずいぶんと、矛盾した存在だ。(「セネカ 哲学する政治家」ジェイムズ・ロム)
そもそも古代ギリシア時代から、評価は割れていた。
金持ち&権力者寄りすぎるんですよね。
人間らしいとも言えますが……🤣
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