私が「受給理由:思想上の理由(働きたくないため)」と書いて生活保護を受け始めて3ヶ月になる。
「働きたくないから生活保護を受けてみた。毎日が豊かになった。|相川計|note」
という記事がおもしろかったので紹介。
生活保護で働かない生活をゲットする相川氏
「働きたくない」で生活保護が受けられるのか?
「思想上の理由で生活保護が受けられるのか?」
ってすごく気になった。
相川氏は生活保護手帳を引用している。
「ただ働きたくないから生活保護を受給したい」という要求には憲法という大上段の存在だけでなく、生活保護法および役所の職員が携帯している『生活保護手帳』も応えてくれる。
生活保護法第4条には、保護の補足性の原理が定められ、「利用しうる資産能力その他あらゆるもの」を最低生活の維持のために活用することを保護の要件としている。この能力として第一に挙げられるのが稼働能力である。……現在、稼働能力を活用しているか否かの判断は、①稼働能力があるか否か、②その具体的な稼働能力を前提として、その能力を活用する意思があるか否か、③実際に稼働能力を活用する就労の場を得ることが出来るか否か、により判断することになっている(『生活保護手帳 2017年度版』228)
生活保護ってそもそも:
「利用しうる資産能力その他あらゆるもの」を最低生活の維持のために活用」していながら、生活ができないときに「補足」的に支給するもの
って感じらしい。
「あらゆる手段を尽くしたけど万策つきたよー🤕😷」
とならなければいけない。
その「利用しうる資産能力」は、不動産とか金融資産も考えられるけど
「第一に挙げられるのが稼働能力」
と書いてある。
つまり「働く能力」ですね。
ビンボー人は
「自分の労働力」
しか売るものがないから「第一」なんでしょう。
その上で生活保護が受けられるのは:
- 稼働能力が足りない(低学歴や職歴、資格がない、障害もちなど)
- 稼働能力を活用する意思がある(働く気はあるんだけど……)
- 稼働能力を活用する就労の場を得ることができない(不況とかでろくな求人がない)
だから
「ビンボーで働きたくないんでナマポちょーだい!🤗」
と役所にいってもむずかしいでしょう。
厚労省ちゃんはこーいってる。
稼働能力の活用に関する判例(平成9年8月8日名古屋高裁判決。平成13年2月13日最高裁判決も同判決の内容を支持。)では、紹介された就業先への就業のための努力や自己の稼働能力に応じた就業場所を開拓しようとする努力がなければ保護の要件を充足しないとされており、稼働能力の活用については、本人の就労に向けた努力により客観的に判断することが必要。(保護の要件(稼動能力の活用)の在り方について)
「働こうとする努力はしてよね~😑」
ってわけ。
失業給付のハロワ通いみたいなもんでしょーか。
「活用する意思」
はどーか?
厚労省ちゃんは:
保護開始時において、申請者から稼働能力を活用する意思を 確認するだけでよいとすることについては、意思の確認のみでは、稼働能力の「活用」をしているとはいえず、また、すべての申請者が「稼働能力を活用する意思がある」と申告することが考えられ、事実上、制度が形骸化するおそれがある。(同)
と危惧してます。
まあ「意思」なんて確認しようがないですよね。
- 「働く気はあるんですか?」
- 「ありまーす! けどクソみたいな求人しかないでーす!」
で終わり。
そんなわけで、著者も表面的には「働く気がある」ことを示したよーだ。
そこまで徹底して働きたくないわけではないが、面白くて十分な収入を得られる仕事が見つからなければ働く意思は無い。
ってわけで
「受給理由:思想上の理由(働きたくないため)」と書いて生活保護を受け始め
とあるけど、「書いて」(申請時)と「生活保護を受け始め」(受給時)のあいだにいろいろあるようす🤔
「ぼくは反労働主義者です、労働は自己に有害であるばかりでなく、社会にも地球にも有害ですから、働きたくありません、しかしとうぜんお金がなくては生きていけませんので、生活保護を受給したいです🥺」
ってのが可能なのかと思ったけど、無理っぽい(そりゃそーだ)。
ここは引っかかったところでした。
あとはとっても共感できました😘
まあとりあえず国が悪いよな……
生活保護法立法の過程では「勤労の意思がない者については、勤労を怠る原因をよく確かめ、その人たちを更正させる努力を払わなければならないとされていた」(同前)そうなので、国には労働環境の整備などさらなる努力を払っていただきたいものである。
他のケースワーカーの方と雑談する機会に「なぜ働かなければならないのですか?」と聞いてみたことがある。その答えとして「生活保護だとたった7万円しかあげられないが、働けば30万40万と稼ぐことができる。だから働くべきである」というようなことを言われた。まず家賃分の5万数千円がカウントから外されているのはともかくとしても、30万40万の仕事なんていったいどこにある? 郵便受けのチラシで日給1万円!と輝かしくアピールする警備員の仕事をひと月休まず働いても税金が引かれて30万には達しないというのに。
「北米やヨーロッパに生まれたら働いていたかもしれねェ……🙄」
と思うことがあります。
- 長時間労働や過重労働
- 理不尽で不条理な職場
- 労働に見合わない低賃金
など、日本の労働環境は多くの問題をかかえている。
おまけに増税につぐ増税です。
いっぽう無職は?
給付金ゲット、全国旅割で悠々自適なホテル生活。
今日は旅館に泊まります……😚
「働くのがバカバカしい」
と思う人がいて当然でしょう。
月13万円でどんな王族よりもリッチです
餓死者が出るような国であれば違っただろうが、現代の日本においてほとんどの場合はそうである。貧しくても真に・善に・美に生きることはすでに十分に可能である。月に13万円もあれば、始皇帝やアレクサンダー大王よりも贅沢な暮らしさえ簡単にできる。
「70年前の伝説のロックバンドの曲が聞きたい😥」
となったらどーするか。
YouTubeの再生ボタンを押すだけ。
アレクサンダー大王が
「あの大昔の音楽聴きてーなァ!」
となったらたいへんです。
高齢の演者をひっぱりだしたり、音楽家に練習させたり。
私たちは録音技術や情報技術で
「アレクサンダー大王」
よりリッチなわけ😚
ただ、すでにリッチであることを「知らない」から
「リッチにならなきゃ」
とあくせくしてるのです。
「知に生きる」という道
私の場合それは「学問の知と共に生きる」ことだった。これに必要なのは、せいぜい書籍代とインターネット回線だけである。学界での評価なり、研究者としてのポストは自分にとって不可欠なものでない。
「読書さえできりゃーいいや」
と私もリタイアしたのでよくわかりますね。
大きな図書館いけば「読むべき本」はいくらでもあります。
一生かかっても読みきれません。
インターネット上でも無料で全文読める本や資料がたくさんあります(とくに英語圏)。
こういう「知識人」というか「書生」みたいな人ってほんとーに必要だと思いますよ。
ニーチェやカントがマクナルでバイトしてたらその才能も潰されます。
「大学教授になればいいじゃん」
といっても、ポストにつくには山ほど努力した上で権力闘争に勝たなきゃいけない。
で、結局やることはくだらねー雑務ばっか。
「ヒマがあって純粋に学問する人」
こーいうのが歴史を変えるビッグな発見をするもんです。
みんなが働かなくなったら? 別にいいんじゃない
「いや働きたくねーだけのビンボー人がみんなナマポになったら大変やんけ😨」
と感じるけど、著者は反論を2点あげている。
ひとつは「無職にも才能が必要」ということ。
世の人々は、当人たちが信じている以上に働きたがっているのだと思う。
孤独に耐える才能、社会の無理解に耐える才能、他者の蔑視に耐える才能、そうしたものが必要とされるだろう。
「お仕事やーやーなの!🥺」
とか言ってる人でも、こころでは「職場でみんなと働く」ことを望んでいる。
自己肯定感や共同体感覚などゲットできるし。
無職ぽやぽやライフは意外と「狭き門」なのです😚
もうひとつは「無職が増えた方が競争が緩和される」:
しかしこうした野の百合たる無職が増えれば、より多くの人々が幸福に暮らせるだろうと思う。働く才能が無く、無職の才能を持っていると気づかず働かされている人はもちろんのこと、これからも働き続ける人々にとってもそれは言える。いままでのように多数で仕事を奪い合う、それもその仕事をやりたくもない人々と奪い合う状況は緩和されるであろうから。
働きたくねーヤツが就活で嘘つき大会する必要はなくなる。
- 働きたいヤツが働く
- 働きたくねーヤツは働かない
まあそっちの方が健全な社会ですね。
私は「イヤイヤ働くひと」は有害とすら思ってます🤤
関連:【労働はオワコン】「まじめに働く」方が社会に有害なのです
終わりに 陽きわまれば陰となる
現実的にナマポが良い選択なのか?
はわかりません。
個人的には:
- 国を利用するのはいいけど、「養われる」のはなんかイヤ
- 月に一回ケースワーカーがきたり、銀行口座が監視されたり、自由にバイクが買えないのもイヤ
- 治験も受けられません……(海外治験ならいけそう🤣)
ともあれノー資産――とくに相川氏のように借金がある場合、生活保護の方が
「手っとり早い」
でしょう。
◆
やっぱ無職ブームがきてるのか?
と感じました。
社畜文明が「陽」なら無職文明は「陰」。
- 「労働はすばらしいんだ!」
- 「やりがい! 生きがい! 働きがい!」
- 「がんばって社会貢献しよう!」
といくら叫んでも……。
陰はしのびこんでくる。
人間の
- 働きたくない
- 怠けたい
- 楽したい
- 自分の好きに生きたい
という根源的な欲望には勝てないのです……😂